麻酔科とは

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当院では、これらの処置にしっかり対応できるよう様々な取り組みを行い、安全性を高めて来ました。人員の配置、高性能な麻酔器、生体管理モニター、体温保持装置といったデバイスに加え、症例ごとに麻酔専任者を決め麻酔記録をつけて症例の状態をチェックしています。人件費や手間は増えてしまいますが、安全に優るものはありません。飼い主様の麻酔への不安、動物たちの身体への負担が少しでも無くせるように今後もアップデートしていきます。

また術後に起きる痛みについても、先制鎮痛剤の投与、術中鎮痛剤の追加投与を行い痛みを積極的にハンドリングしていくことで心体の負担を軽減させるように努めています。

当院麻酔実績について

2009年の開業時の100件/年から徐々に麻酔件数は増えており、現在は年間700件前後(1日平均で3件)の麻酔症例があります。総麻酔件数はおそらくは6000件を超えているものと思います。一般に健康状態で区別をしない統計によれば、犬猫において麻酔によって死亡するリスクは0.1~0.3%とされていますが、この数字実際はもっと低いはずです。当院では開業以来、明らかに特異体質が原因と思われる全身麻酔中の死亡は僅かにありました。それは悪性高熱を発症した猫さんでした。悪性高熱はごく稀な特異体質であり、遺伝病であると考えられています。人や豚では関連遺伝子が調べられていますが、家族歴を追えない保護出身の猫さんの場合は事前検査も追跡調査も不可能です。当院としても痛恨の極みで大変残念な出来事でしたが、検証により麻酔中の危機管理は十分に機能したことを確認し、救急薬をさらに充実させるなどの対策を行いました。それら実績から鑑みると、当院での麻酔処置は平均を大きく超えて安全なレベルにあると考えています。

全身麻酔の目的は、動物医療に関連する身体的、精神的ストレスから伴侶動物を守り、検査や手術が円滑に進行するようする事にあります。麻酔や疼痛管理を軽視するとストレスから体調不良を起こし病態を悪化させるため、麻酔による鎮痛や鎮静が必要不可欠です。万一死亡するリスクを伴う行為であるものの、その危険性は限定されており、正しく安全に運用することにより、病気に苦しむ多くの動物を救うことが出来ます。一方で上記の例が示す通り、死亡するリスクはゼロにはなりません。そのため当院でも、できうる限りの注意を払い、トレーニングを積んだうえで、万一の緊急事態に備えています。

ご家族においても下記の麻酔注意事項をよく理解されたうえで、麻酔当日に備えて頂きますようお願い申し上げます。

麻酔前注意事項

帰宅後の注意事項